![「Gründlich. ドイツとウィーンからやってきた『黒い芸術』」の来場者とバート・プロヤンさん(中央左)、中村明久さん(中央右)](https://images.keizai.biz/ginza_keizai/headline/1447980894_photo.jpg)
中村活字(中央区銀座2)で11月12日、ドイツ語圏の活版印刷の作品を展示する「Gründlich. ドイツとウィーンからやってきた『黒い芸術』」が始まった。
中村活字は1910年創業で、今も活字書体を保有し、活版印刷を続ける印刷会社。「活版印刷の魅力を知ってもらいたい」という思いから、活版印刷のワークショップも開催している。
ドイツ人デザイナーでタイポグラフィ愛好家のバート・プロヤンさんが、故郷のドイツで見つけた「特別な作品」を展示する同展。
「日本語が少し話せる」というプロヤンさんと「英語が分からない」という同社社長の中村明久さんの交流は、プロヤンさんが雑誌で同社のことを知って訪問したことから始まった。
今回の展示は二人の約1年間前からの計画によって実現したもので、展示作品はプロヤンさんがスーツケースに入れて運んだという。
会場では1834年に作られた有名な政治的パンフレット「ヘッセン急使」のクラウス・クローナさんによる復刻版や、エリック・シュピーカーマンさんの木活字のピリオドを示す書体見本、ヴォルフガング・シェーンさんが手掛けたヘルベルト・フォン・カラヤンらの名刺、活字の原料でもある鉛で鋳造された、活版印刷技術の発明者であるヨハネス・グーテンベルク像など約10点を展示。プロヤンさんによる「マリモ」(8,000円)や、「豆本」(大=7,000円、小=1万5,000円)などは販売も行う。
中村さんは「展示タイトルにも使った『Gründlich』は、ドイツ語で『とことん』という意味。作品をご覧いただき添えられた解説を読んでいただければ、人が活版印刷という技術を使い、とことん作品と向き合って丁寧な仕事をした時、どんなにすごいものを作り出すことができるかを納得していただけると思う」と話す。
開催時間は8時30分~17時。土曜・日曜・祝日定休。12月24日まで。