「ウジェーヌ・アジェ写真展『シュルレアリスム』」が現在、「Art Gallery M84」(中央区銀座4)で開催されている。
フランス南西部のボルドーに近い町、リブルヌで1857年に生まれたアジェは、地方回りの役者などを経て画家になることを目指すが断念。多くの芸術家が作品の資料となる写真を求めていることを知ったことから、モンパルナスのアパートの自室のドアに「芸術家の資料」という看板を掲げ、芸術家に写真を売るようになった。パリの古い街並みや郊外の風景、そこに暮らす人々、歴史的建造物などを撮影した写真は、パリの貴重な記録として図書館や博物館にも収められた。アジェが41歳から死去するまでの30年間に残した写真は約8000点に及ぶという。
同展では、アジェ自身による整理番号付きビンテージオリジナルプリントやフランスの国家機関が管理しているガラス乾板からプリントした作品など、約45点を展示・販売する。
ギャラリーオーナーの橋本正則さんは「変わりゆくパリを丹念に撮影したアジェの写真は、その魅力を見抜いたマン・レイによってシュルレアリスムの機関紙『シュルレアリスム革命』に掲載された頃から、その作家性にスポットライトが当たるようになった」と話す。
「アジェは自分の気持ちの赴くまま写真を撮るのではなく、テーマを決めて計画的に撮影した。パリの街を形作るさまざまな造形物や風景、そこで暮らす人々に対するまなざしと尊敬の念が、静寂な写真の中に映し出されている」とも。
開館時間は10時30分~18時30分(最終日は17時まで)。日曜休館。入場料は500円。10月20日まで。