東京国立近代美術館フィルムセンター(中央区京橋3、TEL 03-5777-0600)で、10月27日から始まる「スウェーデンドキュメンタリー映画祭」の開幕に先立ちプレスミーティングが同26日、行われた。
1920年代からスウェーデン映画の中心であるドキュメンタリー映画は、現在も年に30~35作品が上映、政府も助成金を出しており「スウェーデンの文化に深く根ざしたもの」(同大使館)という、いわばドキュメンタリー映画大国のスウェーデン。大阪では第14回大阪ヨーロッパ映画祭の一環として、東京では初めて開催されるスウェーデンドキュメンタリー映画祭に先立ち行われたミーティングには、「スウェーデンのオスカー」ともいわれる「金のカブト虫」賞でベストドキュメンタリーに選ばれ、同国では通常ドキュメンタリー映画上映時の約10倍の観客数を集めるヒット作となった「極北のアーム・レスラー」監督・脚本を手がけたヘレーン・アールソンさん、リーサ・ムンテさんや、1910年代トルコ人による虐殺から生き延びたアルメニア人の証言をとらえた「私は犬が嫌いだ」監督のスサン・カーダリアンさんやスウェーデン映画協会フィルム・コミッショナーのトーヴェ・ヘルシュコヴィッツ・トールビョンソンさんら映画関係者が参加した。
監督、映画関係者が上映作の概要やスウェーデン映画について説明した後、報道陣からは「日本でドキュメンタリー映画の上映比率は少ないが、スウェーデンではどれくらいの比率か」「ドキュメンタリー映画を撮る上で何が最も難しい点は」「今回の参加者には女性が多く見受けられるが、女性の映画関係者はどれくらいいるのか」などの質問が飛び、「スウェーデンでもドキュメンタリー映画はタフなビジネスだが全体の映画の20~25%の割合を占める」「やはり配給や費用の捻出が難しい」「フィクション映画などで女性は活躍しにくいが、ドキュメンタリー映画の中では増えており、男性と50:50の割合」と、監督や映画関係者がそれぞれ回答した。
アールソンさん、ムンテさんは「わたしたちは女子腕相撲世界チャンピオンのハイディ・アンデションさんとその素晴らしい家族に出会い、映画を作らずにはいられなかった。この作品で、腕相撲のように日本の観客たちをノックダウンしたい」と意気込みを語った。
「スウェーデン・ドキュメンタリー新作選」の開催は11月4日まで。10月29日休館。