メゾンエルメス10階のプライベートシネマ「ル・ステュディオ」(中央区銀座5、TEL 03-3569-3300)で9月4日から、「語りつがれるものがたり」プログラム第4弾として「Teorema(テオレマ)」を上映する。
イタリア文化界の「鬼才」と称される映画監督、ピエル・パオロ・パゾリーニが1968年に製作した同作。詩人であり、小説家であったパゾリーニは「豚小屋」(1969年)や「ソドムの市」(1975年)などの作品で時代の倫理観を覆すような「問題作」を発表してきた。同作では資本主義社会に生きるブルジョアと労働者を取り巻く現実を神秘的な寓話を通じて批判した「独自の現実へのアプローチが顕著に現れる作品」とされている。
本作品の舞台は北イタリアの工業都市ミラノ郊外に住むブルジョア家庭。ミラノの大工場の持ち主である父親と美しい妻、無邪気な息子と娘、そして家政婦がいる家庭にある日突然美青年が現れ、何の前触れもなく家族と同居を始める。青年はそれぞれの家族と関係を結ぶことで穏やかな日々を徐々にかき乱す。青年がもつ性的な魅力と神聖な不可解さに魅了され、挑発された家族たちはやがて崩壊の道をたどっていく。
上映開始は11時~、14時~、17時~の3回。10月16日までの毎週土曜のみ上映。入場無料。要予約。問い合わせはエルメスジャポン(TEL 03-3569-3300、11時~19時)まで。