土方巽や三島由紀夫などを被写体に独自の世界観で戦後日本の写真界をけん引した写真家・細江英公さんの写真展が1月6日、銀座「BLD GALLERY(ビーエルディーギャラリー)」(中央区銀座2、TEL 03-5524-3903)で始まった。
細江さんは1931(昭和6)年生まれ。17歳で富士フイルム主催「富士フォトコンテスト学生の部」で最高賞を獲得し写真家を志すように。1953(昭和28)年に東京写真短期大学(現・東京工芸大学)入学後は、美術家・瑛九らと交流を深めながら独自の芸術観を確立していった。
1959(昭和34)年ごろ、報道写真を中心にした「リアリズム路線」が主流だった日本の写真界で川田喜久治さん、奈良原一高さんらと共に「より私的で芸術的な表現活動としての写真」を展開。三島由紀夫を被写体に「耽美(たんび)的な世界」を表現した「薔薇刑(ばらけい)」、土方巽をモデルにした「鎌鼬(かまいたち)」などで、戦後日本の写真界をけん引した。
細江さんの作品をシリーズごとに期間を区切って紹介する「細江英公 写真展」。シリーズは、土方さんの故郷で撮影した「鎌鼬」(1月29日まで)、東京の風景に四谷シモンさんがたたずむ「シモン・私風景」(2月1日~26日)、ヌードシリーズを集めた「おとこと女+抱擁+ルナ・ロッサ」(2月29日~3月18日)、50年間大野一雄さんの肉体を撮影し続けたシリーズと、ロダンの彫刻作品に着想を得たシリーズを組み合わせた「大野一雄+ロダン」(3月21日~4月8日)、細江さんの知人や友人などのポートレートを集めた「知人たちの肖像」(4月11日~22日)、三島由紀夫を捉え、世界の代表的な写真集として「20世紀101冊の名作」にも選出された「薔薇刑」(4月25日~5月13日)の6部。
開催時間は11時~19時。会期中無休。入場無料。5月13日まで。