銀座・数寄屋橋交差点近くの「東日本復興応援プラザ」(中央区銀座5)で2月23日、水産加工品を中心に、宮城県気仙沼市内の製造業15社が出展する「第17回三陸気仙沼の求評見本市」が開催された。
主催は気仙沼市、気仙沼商工会議所、気仙沼漁業協同組合、気仙沼市物産振興協会などから成る実行委員会。気仙沼市の物産品の需要拡大と「より良い商品作り」を目的に、市内製造業者がブースを設けて関東、中部地域の食品流通業者らに商品をPRする見本市で、1995年から気仙沼市内のホテルを会場に実施してきた。昨年は34社が出展し、食品バイヤーを中心に700人が来場。
東日本大震災では18.65平方キロが浸水、2.48平方キロが焼失した気仙沼市。水産業では市場、工場、冷蔵施設、造船関係など沿岸部の全ての事業所が被災。魚市場は6月に再開したが、昨年の水揚げ総量は例年の30%台まで落ち込んだという。
宿泊施設や駐車場など開催に必要な条件が整わないことなどに加え、「復興の機運を捉えながら、生産を再開する物産品の需要拡大に向けて情報発信したい」との思いで、会場を東京に移した今回。いち早く製造を再開した15業者が、マグロ、サンマ、サバ、カニ、ホヤ、メカブ、ワカメ、フカヒレなど幅広い水産加工品をブースに並べてアピール。商品の味わい方や製造再開までの道のりなど、バイヤーとの会話に花を咲かせた。
外食チェーン大手の担当者は、居酒屋で提供する東北食材を探しに来たという。気仙沼市の見本市へは初参加だが、「普通の見本市より売り手の皆さんが積極的なのが印象的だった。1点でも2点でも、いいものが見つかれば契約を前向きに検討していきたい」と話していた。
「もともと気仙沼に契約業者があった」という、首都圏を中心に展開するスーパーマーケットのバイヤーは、今回が震災後初の顔合わせ。「電話でのやり取りはあったが、実際に顔を合わせると、メーカーさんがつらい経験を乗り越えてゼロからやってきた自信にあふれていたのが印象的だった。これからも引き続き応援していきたい」
通販会社の担当者は取り扱い企業を探しに訪れた。「商品にかける思いが熱い人たちが多かった。同じような商品に見えても一社一社異なるストーリーがあった」と振り返り、「現地に足を運んで検討を続けていきたい」と前向きな姿勢を見せた。
事務局の宮城県気仙沼市産業部商工課・佐藤満さんは「まだ十分な生産体制が整わずに準備に取り組んでいる業者もあり、1カ月、1週間ごとに生産再開などの知らせが入ってくる。見本市ではバイヤーの方々からの応援していきたいという思いが感じられた。これからも気仙沼の物産業を後押ししていきたい」と意欲を見せる。