中央区の小学生が演者となって、本格的な衣装やメークで歌舞伎演目を披露する「新富座こども歌舞伎」が10月13日、泰明小学校(中央区銀座5)の校庭で実施される。
明治の初め、現在は京橋税務署と東京都中央都税事務所が立つ新富町2丁目に芝居小屋「新富座」を構えた新富町。東銀座には歌舞伎座が構えることもあって、近隣には現在でも「松竹衣裳」(新富2)、カツラ工房「大澤」(入船1)、「金井大道具」(新富2)など、歌舞伎にまつわる幅広い業態が軒を連ねる。
これらの地域特性や歴史を踏まえ、「人々の暮らしに根付いた文化として発展した歌舞伎を、歌舞伎座のお膝元・中央区の地芝居として育てられないか」と発起した日本舞踊藤間流師範の諸河文子さん。町会、小学校などに話を持ち掛け、「長唄や三味線が得意な近隣住民」「近隣の企業」なども協力。中央区の小学生が演者を務める「新富座こども歌舞伎」として、2007年秋に初公演が実現した。
以降毎年メンバーを募り、新富町の氏神を祀る「鐵砲洲稲荷神社」(湊1)で奉納歌舞伎を上演。演者を務める子どもたちのほか、長唄・三味線などは近隣住民が担当。衣装、かつら、メーク、舞台なども、企業などからの協力を得て本格的な仕様を整える。代表的な演目は「寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)」「三人吉三巴白浪 大川端庚申塚の場(さんにんきちさともえのしらなみ おおかわばたこうしんずかのば)」「義経千本桜 吉野山(よしつねせんぼんざくら よしのやま)」「白浪五人男 稲瀬川勢揃の場(しらなみごにんおとこ いなせがわせいぞろいのば)」。
今回の公演は、10月9日から始まる「国際通貨基金・世界銀行年次総会 2012」に向けて、銀座への海外からの来街者増加を見込む「全銀座会」「銀座街づくり会議」からの要請を受けて実施する。会場は泰明小学校校庭の特設舞台で、「寿式三番叟」「白浪五人男 稲瀬川勢揃いの場」を披露。
出演は、今年6月から稽古を始めた小学生たち。稽古は「正座、お辞儀、あいさつの仕方、浴衣の着付け」からスタートし、「お父さん、お母さんにも一緒になって覚えてもらった」(諸河さん)。近隣住民らから長唄を学び始め、今回子どもたちの後ろで初舞台を踏む「お父さんたち」もいるという。
「これまでも外国人に日本の伝統芸能に触れてもらいたいという思いがあった」と諸河さん。「子どもたちが一生懸命大きい声で演じる姿は、それだけで胸が打たれるもの。たくさん感動してもらえれば」。「大切なのはうまい下手ということではなく、幅広い世代のみんなで地芝居を楽しんでいるということ。これからも多くの人に見てもらいたい」とも。
開場は、第1部=13時、第2部=15時。上演時間は各45分。入場無料。観覧にはメールかファクスでの申し込みが必要。詳細はGINZA INTERNATIONAL WEEKオフィシャルサイトで確認できる。