落語家・立川談志さんの一周忌に合わせて12月から公開が始まる「映画 立川談志」に向けて11月16日、東劇(中央区築地4)前に巨大看板が上がった。
昨年11月21日、75歳で亡くなった談志さん。16歳で五代目柳家小さんさんに弟子入りし、27歳で真打ちに昇進して五代目立川談志を襲名。1971(昭和46)年には参議院議員選挙に当選し、1977(昭和52)年まで国会議員として活躍。真打ち制度などをめぐって1983(昭和58)年に落語協会を脱会後、落語立川流を創立して家元となった。
三代目古今亭志ん朝さん、五代目三遊亭圓楽さん、五代目春風亭柳朝さんとともに「江戸落語四天王」と呼ばれ、落語界に多大な影響を残した談志さん。落語は「人間の業の肯定」「イリュージョン」「江戸の風が吹く」など独自の落語哲学で知られ、その毒舌ぶりは落語界以外でも注目を集めてきた。
今回の映画化は、今年2月に追悼公演「落語立川流in平成中村座」を行った際に、長男・松岡慎太郎さんが松竹からの提案を受けるかたちで始まった。松岡さんが撮影していた談志さんのプライベート映像なども盛り込んだドキュメンタリー作品で、イリュージョン落語の代名詞とされる「やかん」(2005年10月12日国立演芸場)、十八番の一つに数えられる「芝浜」(2006年12月2日三鷹市公会堂)も収録。ナレーションは柄本明さんが担当し、談志さんの落語哲学に迫る。
見どころは「やはり談志の晩年の代表作『やかん』と『芝浜』。イリュージョンな落語と人情話と、対極にある2席」と松岡さん。いずれもDVD未収録で「談志ファン、落語ファンはもちろん、落語を見たことがない方、談志の毒舌は聞いたことがあっても落語は敬遠されてきた方にも楽しんでもらえる作品になっている。一人でも多くの人に見てもらえれば」とアピールする。
作品は東劇、なんばパークスシネマで12月8日から先行上映し、来年1月12日から全国で公開する。