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フィルムセンターで「映画監督 山田洋次」-54作品を回顧上映

フィルムセンターの「映画監督 山田洋次」初日、トークイベントでの山田洋次監督

フィルムセンターの「映画監督 山田洋次」初日、トークイベントでの山田洋次監督

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 東京国立近代美術館フィルムセンター(中央区京橋3、TEL 03-5777-8600)で12月3日、特集上映「映画監督 山田洋次」が始まった。

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 今回の特集は、デビュー作から2010年の「京都太秦物語」(阿部勉共同監督)まで80本の山田作品の中から54本を上映するもの。1969(昭和44)年から1995年にわたって48作品が公開された「男はつらいよ」シリーズからは監督自選の20作品が上映される。

 同監督は1954(昭和29)年に松竹大船撮影所に入社、1961(昭和36)年に監督デビューした後はハナ肇さん主演の喜劇「馬鹿(ばか)」シリーズなどでその手腕を発揮。渥美清さん主演で国民的な人気シリーズとなった「男はつらいよ」のほかにも「家族」「幸福の黄色いハンカチ」「息子」などの作品を発表し、高い評価を受けた。昨年には映画監督として3人目となる文化勲章を受章し、今年は監督50周年記念作品となる「東京家族」が公開された。

 初日、3日には山田監督のデビュー作で、当時SP(シスター・ピクチャー)と呼ばれた中篇(ちゅうへん)「二階の他人」が上映された。

 満員となった同センター大ホールは上映中、観客の笑い声に沸き、それに続く同監督のトークイベントでは、同作品の撮影時のエピソードや長年にわたるスタッフとの緊密なチームワークで「山田組」が形成されていく過程などが明かされた。 

 「SPは、フィルムや製作費の制限がある中、新人の監督や俳優の力量を試す場だった。自分が監督デビューした時は、照明、美術、カメラ、そして助監督さえも自分よりも先輩で、演出指導の仕方も分からず、ベテランスタッフの助言や俳優が提案する演技に『違う』『そうじゃない』と言いながら、結果として僕の映画になっていった」と語る山田さん。

 「『二階の他人』の冒頭、主人公が土砂降りの東京郊外の駅で、傘と長靴を持って仕事帰りの夫を待つという、現在ではあまり見られない情景があるが、そのように映画というものは意図しなくても時代が『映って』しまうもの。半世紀撮り続けてきた自分の作品に、この国の歴史が映っていることを感じていただければ」とも。

 入場料は一般500円ほか。上映期間は1月22日まで。月曜と12月28日~1月6日は休館。上映スケジュールなどの詳細は同センターのホームページで確認できる。

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