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京橋LIXILギャラリーで子どもの「背守り展」-石内都さんの作品も

写真家・石内都さんと、真成寺に残されたものの中で最も古い1839(天保10)年の百徳着物の写真

写真家・石内都さんと、真成寺に残されたものの中で最も古い1839(天保10)年の百徳着物の写真

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 京橋のLIXIL(リクシル)ギャラリー(中央区京橋3、TEL 03-5250-6530)で6月5日、巡回企画展「背守(せまも)り 子どもの魔よけ展」が始まった。

京橋、LIXILギャラリーの巡回企画展「背守(せまも)り 子どもの魔よけ展」の会場風景

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 「背守り」とは子どもの健やかな成長を願って母親が着物の背中にシンプルな縫い取りや刺しゅう、アップリケのような押し絵などの飾り縫いを施した魔よけのお守りのこと。

 大人の着物は背中の縫い目に霊力が宿って背後から忍び寄る「魔」を防ぐが、身幅が狭く背中に縫い目がない子どもの着物には背後から魔が忍び込むという考え方から、それを防ぐために背中に縫い目を施すという風習が生まれ、着物を着ることが日常的だった昭和の初めごろまでは日本各地で広く見られたという。

 同展では背守りが施された着物、子育ちの良い家や長寿のお年寄りから端切れをもらい、百枚をつづって子どもに着せると丈夫に育つという言い伝えから作られた「百徳(ひゃくとく)着物」、蓑亀(みのかめ)・鶴など縁起物の図柄で、子どもの帯に下げられていた「守り袋」、童子(わらし)やコウモリなど凝った意匠で白い布が当てられた裏側に住所・氏名・親の名前が記された「迷子札」など約110点を展示。

 会場には今年、「ハッセルブラッド国際写真賞」を受賞した石内都さんが同展のために撮り下ろした写真も展示。同館内の「現代美術個展ギャラリー」では、石内さんが「背守り 子どもの魔よけ展」の展示品である子どもの着物を撮影した新作19点を展示する「石内都展-幼き衣へ-」も同時開催する。

 石内さんは「子育ての守護神・鬼子母神が祭られている金沢の真成(しんしょう)寺で百徳着物を撮影した際には、寺の本堂の畳の上にトレーシングペーパーを広げ、自然光の中、カメラを手持ちで(脚立を使わずに)撮影した」と話す。

 「『豆粒三つ包める布は捨ててはならぬ』という戒めがあるように布が大変貴重だった時代、柔らかくなった大人の着物をほぐし、小さな布をつなぎ合わせて子どもに着せた、かつての日本の母親たちの細やかな愛情と切実な祈りが立ち上ってくるように感じる」とも。

 開館時間は10時~18時。入場無料。8月23日まで。水曜と8月14日~17日は休館。

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