資生堂パーラー銀座本店(中央区銀座8)で6月19日、創業110周年を記念してレストラン開業当時のメニューをコースに仕立てた「銀座レトロコース」「昭和モダンコース」の提供が始まった。
資生堂パーラーは1902(明治35)年、資生堂薬局内に日本で初めてソーダー水やアイスクリームの製造販売を行う「ソーダーファウンテン」として誕生。関東大震災で施設が全壊したが、1928(昭和3)年には「資生堂アイスクリームパーラー」として新築し、本格的なレストランをオープン。西洋料理の草分け的存在として知られた。
初代総料理長は飯田清三郎さん、次長は高石鍈之助さんで、以下コック10人が在籍。詰め襟7つボタンの白い上着を着たボーイらがホールでの接客を担当。1931(昭和6)年には、現在まで「名物」として愛される「ミートクロケット」がアラカルトメニューに登場。1941(昭和16)年には食品販売会社を設立して事業を拡大し、1954(昭和29)年に資生堂パーラーへと称号を変更。現在までにレストラン、喫茶飲食店の経営や、洋菓子の製造販売、輸入販売などを行っている。
資生堂創業の地である銀座8丁目の資生堂アイスクリームパーラー跡には、1962(昭和37)年に資生堂会館を完工。1973(昭和48)年に資生堂パーラービルとしての改装に合わせて、フランス料理店「レストランロオジエ」「バーロオジエ」をオープンし、喫茶室「サロン・ド・カフェ」も新設した。現在の「東京銀座資生堂ビル」は、ロオジエ移転などを経た2001年にオープンしたもので、ショップとデリ「シェフ デ シェフ」(1階)、サロン・ド・カフェ(3階)、資生堂パーラー銀座本店(4階・5階)、イタリアン「ファロ資生堂」(10階)、「ファロ スロータイム」(11階)などが営業している。
今回のコース2種は、「資生堂アイスクリームパーラー」開業当時のメニューを復刻したもの。ランチタイム限定の「銀座レトロコース」(4,800円)では、料理長から料理長へと伝えられてきたという味付けの「コンソメー」、「コロッケの父」とも呼ばれた高石シェフの代表作「シュリンプ クルケット」、当時は「トマトソース、チーズかけ焼き」との説明で紹介していたというグラタン「トマト マカローニ」、ローストビーフ、アイスクリームなどを提供。
「昭和モダンコース」(8,800円)では、「クロケット」を発展させたオリジナルメニューで、タラバガニを入れたコロッケを舌平目で包んでフライにした「舌平目、タラバガニ ガストロノーム」、自家製ローストビーフや1週間マリナードした牛たんの塩漬けなどの「コールド ミート 取り合わせ」、ヒレステーキやフォアグラ、コンソメー、メロンなどを提供する。
合わせて期間中は、スタッフは白い詰め襟に金色の花椿型ボタンをあしらった当時の制服をリメークしたものを着用して接客する。
「資生堂は銀座という街と共に歩んできたという思いがある。復刻メニューは資生堂パーラー創業110年という節目を迎え、原点に帰って銀座への感謝の気持ちを発信したいという思いで企画したもの。昭和モダンの香りを堪能してもらえれば」(資生堂広報部担当者)。
営業時間は11時30分~21時30分。月曜定休。コースの提供は7月22日まで。