コム デ ギャルソン、ルイ・ヴィトン ジャパンなどのクライアントワークで知られるアート・ディレクター、テセウス・チャンさんの世界観を伝える回顧展「テセウス・チャン:ヴェルク No.20 銀座」が現在、「ggg(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)」(中央区銀座7、TEL 03-3571-5206)で開催されている。
1961年生まれのチャンさんは、マッキャンエリクソンなど外資系の広告代理店にアート・ディレクターとして勤務した後、1997年にデザイン・オフィス「WORK」を設立。移転を繰り返して「ゲリラストアがあった地区ははやる」という伝説を作ったという「コム デ ギャルソン ゲリラストア+65」(2004年~現在は閉店)の運営や、「シンガポールの街を汚す」というコンセプトで手掛けた「シンガポール・ビエンナーレ2006」のアート・ディレクションなどで知られ、シンガポールのプレジデンツ・デザイン・アワードで「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」(2006年)に選出された。日本でも、ルイ・ヴィトン ジャパンや谷川じゅんじさん率いる「JTQ」をクライアントにしたコンセプトブックのアート・ディレクションで知られる。
展示タイトルに冠した「ヴェルク」は、WORKが刊行するジン「WERK(ヴェルク) magazine」から。2000年に創刊した同誌は毎号800~1000部限定で制作され、仕事での出合いやデザイン哲学から着想を得て、毎号異なるテーマでコンテンツ作りから装丁までを展開。主にシンガポール、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、日本で取り扱われる。
同展ではヴェルク創刊号から最新号となる20号までの同誌アーカイブを一堂に紹介。「gggでの展示は私たちにとって新しい始まり」とチャンさん。同展に合わせて制作した最新号は、紙のテクスチャーや本の構造を拡大したビジュアルイメージを集積し、エイジング技術を施したもので、同展が世界初披露となった。ほかに会場では、チャンさんが個人的に所蔵する古いコム デ ギャルソンの服のタグ、印刷されたグラフィックの断面、古雑誌の切り抜きなどを表紙に手貼りし、スプレーでペイントした19号も販売。一部ごとに異なる表紙を壁一面に並べて展示し、来場者は気に入ったものを取り外して購入できる。
開館時間は11時~19時(土曜は18時まで)。日曜・祝日休館。入場無料。12月25日まで。