シネスイッチ銀座(中央区銀座4、TEL 03-3561-0707)で7月20日から上映されている「クロワッサンで朝食を」が、同館で上映したフランス映画の初週動員と興行収入の記録を更新するヒットとなっている。
「クロワッサンで朝食を」 © TS Productions - Amrion Oü - La Parti Production - 2012
同作は、パリの高級アパルトマンで暮らす孤独で気難しい老婦人フリーダと憧れのパリにやって来た家政婦アンヌが出会い、互いに反発し合いながらも徐々に心を通わせ、人生の喜びを見つけていくという、イルマル・ラーグ監督の母親の実話を基にしたストーリー。
主人公のフリーダを、1950~60年代にルイ・マル、フランソワ・トリュフォー、オーソン・ウェルズ、ルイス・ブニュエルなどの名監督たちの作品に出演したジャンヌ・モローさんが演じた。作品の中で身に着けているシャネルファッションは全て、プライベートでも故ココ・シャネルと親交のあったモローさんの私物。
上映開始後、同館には連日1000人以上の観客が来館。不安定な天候にもかかわらず動員数は増え続け、26日金曜日のレディースデーは全回満席となった。上映初日は70~80代の女性層、シニア層、銀座マダム層の来館者が中心で、2日目は50代以上の夫婦が加わり、3日目からは20代の女性まで客層が広がった。往年のジャンヌ・モローファンの60代以上の男性も多いという。
同作のヒットについて、配給するセテラ・インターナショナルの担当者は「パリが舞台でありながら、自分たちと近い境遇、自分も抱える悩みが映画の中にあるのでは、という期待感がヒットの要因では」と分析する。
「今年になって、銀座シネパトス、銀座テアトルシネマと銀座のミニシアターが立て続けに閉館になる中、長きにわたって銀座4丁目で映画文化を守り続けてきたシネスイッチ銀座でこのような大ヒットが生まれることは、またこの地で映画館を開こうという動きが出るいいきっかけになるのでは」とも。「パリと同じく『憧れの町』である銀座に、おしゃれをして出掛け、映画を見て食事をして買い物をする。女性たちを、そんな気持ちにさせる映画が銀座のにぎわいを生んでいくのでは」