銀座十字屋(中央区銀座3)は8月8日より、創業140年周年記念展覧会として「オペラ」と「日欧のアール・ヌーヴォー」を主なテーマとしたアンティーク絵はがき展「絵葉書世界~オペラとジャポニズム~宮後(みやご)年男コレクション」を開催する。会場は9階の十字屋ホール。
プッチーニのオペラ「蝶々夫人」の一場面を描いた絵葉書-銀座十字屋で開催の「絵葉書世界~オペラとジャポニズム~宮後年男コレクション」
同社は1874(明治7)年に聖書賛美歌を取り扱う「十字屋書店」として創業。その後、オルゴールの一種である紙腔琴(しこうきん)の製造・販売や西洋楽器の輸入を行うようになった日本で最初の西洋楽器店。現在もハープなどの楽器の販売やハープ・フルート教室の運営などを行っている。
同社がアンティーク絵はがき展を開催するのは2009年に続いて今回が2回目。
同社創業の年に万国郵便連合が設立され、翌年、日米郵便交換条約が調印されたことにより日本において外国郵便の取り扱いが始まった。1900(明治33 )年には私製はがきの使用が許可されたことに伴って、国内では大きな「絵はがきブーム」が起きたという。
今回の展示では、前回に続いて美術商である宮後年男さんが長年収集してきたヨーロッパ絵はがきのコレクションの中から厳選した約450点を展示。
19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパに流入した日本の浮世絵や工芸品などから広まった日本趣味の影響はアール・ヌーボーにも影響を与え、ジャポニズムとして開花し、プッチーニの「蝶々夫人」、ピエトロ・マスカーニの「イリス」など、日本を舞台とするオペラも生まれた。
同展では、そうした「ジャポニズム・オペラ」の主な場面を描いた絵葉書をはじめ、「P.ベルトン」「アルフォンス・ミュシャ」など、典型的なアール・ヌーボー様式の絵はがきのほか、音楽を題材に作られた日本の絵はがき、ハートやハンモックなど明治以前はなかったモチーフを取り入れた絵はがきに加え、美術雑誌「小さな蕾」に連載された「1号サイズの美術館」に掲載された上村松園、墨池亭黒坊、中澤弘光などの絵はがきも紹介する。
8月23日には関連イベントとして、ヴェルディのオペラ「椿姫」「シモン・ボッカネグラ」などを演奏するコンサート(1ドリンク付き、5,200円)も開催する。
同社の中村千恵子会長は「当時のヨーロッパ、そして日本にこんなに美しい絵はがきが存在したことに驚かれる方も多いのでは」と話す。「日欧のアール・ヌーボーを比較しながら、ぜひ多くの方に楽しんでいただければ」とも。
開場時間は10時~19時(最終日は17時まで)。一般=1,000円、高大学生=800円(以上当日料金)、中学生以下無料。8月22日まで。