演劇と映画の専門図書館、公益財団法人松竹大谷図書館(中央区築地1)は現在、クラウドファンディングサービスを使って運営・事業資金の支援を募っている。
4回目のクラウドファンディングサービス利用となる今回は「歌舞伎や映画、日本文化の歴史を後世に伝える。」と題し、目標金額は250万円に設定した。
内訳は「図書館の平成27年度運営資金」が150万円、「『GHQ(連合国最高司令官総司令部)検閲歌舞伎台本』300冊のデジタル化の費用」が100万円。
「検閲台本」とは太平洋戦争終戦後の1945(昭和20)年~1949(昭和24)年の4年間にGHQによる検閲を受け、表紙に「認可番号印」や「検閲通過印」が押されていたり、英語による書き込みがされていたりするもので、そのほとんどが歌舞伎の台本。
同館事務局の武藤祥子さんは「これら『検閲台本』は経年劣化のため、『検閲通過印』が押されたり、問題のあった箇所などの書き込みがされていたりする表紙が失われようとしている。削除された箇所などの検証はいまだ行われておらず、貴重な資料が失われつつあることに危機感を募らせている」と話す。
募集金額は1口当たり3,000円・5,000円・1万円・3万円・5万円の5種類。支援金額に応じて、歌舞伎「勧進帳」や映画「秋刀魚(さんま)の味」の台本の表紙をデザインした文庫本カバーや、同館所蔵の歌舞伎・映画台本のうち210タイトルから好きな作品を選んでその台本カバーに支援者の名前を載せる権利などのリターンが設定されている。
「今回のプロジェクトで全文が画像化されてウェブで公開されれば、今後の日本演劇の研究や日本戦後史の研究に役立つのではないかと考えている。ぜひ支援をお願いしたい」と武藤さん。
クラウドファンディングへの応募締め切りは10月28日23時。