銀座の老舗ジャズクラブ「銀座スウィング」(銀座インズ2、2階)の姉妹店「スウィングシティ」(中央区銀座6)が来年1月31日、閉店する。
銀座スウィングは1976(昭和51)年、岩本悟さんが銀座8丁目に構えたジャズクラブ「ジャンク」から独立する形で創業。当時の銀座では、モダンジャズが隆盛した中央線沿いのジャズシーンに比べてスウィングジャズが多く聴かれ、同店はピアニストの世良譲さんや前田憲男さん、ドラマーのジョージ川口さんなど、戦後のジャズシーンをけん引したミュージシャンたちが連日ライブを繰り広げるライブハウスとして知られるようになった。
スウィングシティは1984(昭和59)年、「新橋スウィング」の名で新橋・赤レンガ通り沿いにオープンし、「ビッグネームと若いジャズミュージシャンがセッションできる場」としてオリジナルイベントを開催。入居ビル建て壊しのため1993年に現在の場所に移転し、「スウィングシティ」として再オープン。
移転後は中央のライブスペースを囲むように円型カウンターを設け、「目の前の距離で演奏が聴けること」「落ち着いた雰囲気」などを持ち味に営業。サックス奏者のMALTAさんや、バイオリニストの寺井尚子さんなど、第一線で活躍するミュージシャンたちがデビュー当時からライブを展開し、若手ミュージシャンたちの間で「あそこでやってみたい」と言われる場所へと成長してきた。
閉店の理由について、岩本悟さんの長男・宏さんは「ライブハウスが増えてミュージシャンが演奏できる機会も多くなり、ここでライブを続けていく意義が薄くなってきた」と話す。「現在は来店客が戻ってきたが、地震の影響もある」という。
閉店までの約2カ月半のライブスケジュールについては11月に入りホームページで発表し、予約を受け付けている。前田憲男さんが率いるピアノトリオ「WE3」のライブ(11月19日、12月30日、1月27日)や、ジャズをメーンにジャンルレスに活躍するピアニスト国府弘子さんが出演するライブ(1月30日)など話題のライブが続き、最終日にはジャズクラリネット奏者の北村英治さんなど5人がトリを務める。
「お客さまからは寂しいという声もあるが、衰退ではなく次のステップ」と宏さん。「今後は銀座スウィングに注力し、原点に戻って本来の店が持っていた魅力・強みをもう一度作り直していきたい」と話す。
ライブは19時~。