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銀座「東日本復興応援プラザ」、今月末で閉店へ-10万人が来店

約11カ月間の営業で6,000万円を売り上げた「銀座いきなり市場」で事務局長の及川順一さん

約11カ月間の営業で6,000万円を売り上げた「銀座いきなり市場」で事務局長の及川順一さん

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 東日本復興応援プラザ(中央区銀座5)が現在、8月末の閉店を目前に「感謝を伝える」イベント企画を進めている。

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 東日本大震災を受け、昨年10月に開業した同プラザ。東急不動産(渋谷区)が数寄屋橋交差点の一角に構える銀座TSビルの一部を無償で貸し出し、気仙沼商工会議所が中心となって復興をテーマにした物産、飲食、イベントを展開。「震災の風化防止」「被災地域の物産品の販路拡大」「被災者の雇用創出」に役立ててきた。

 気仙沼地域開発が運営受託し、気仙沼の被災者10人程度が店舗スタッフを主に務めた。2班に分かれてローテーションで上京し、目黒区防災センターに宿泊しながら勤務。店舗運営については「素人の集まり」(事務局長の及川順一さん)だったスタッフが、賞味期限や、発注などの物販管理、イベント管理、飲食提供までを手探りで進めてきた。

 物産は当初、35社150品目でスタートした。気仙沼の加工業者などが中心だったが、「壊滅状態の工場も多く、生産体制は整っていなかった。たまたま高台にあった工場で製造された商品や残った在庫などを扱っていた」と及川さん。そこから少しずつ復旧が進み、「仮設工場も増え始めた」。後に青森県八戸、岩手県久慈、宮古、釜石、大船渡、宮城県石巻、塩釜、福島県いわきの8商工会議所が参画し、8月現在までに取り扱う商品は130社630品目へと拡大した。

 通常営業に加え、週末には各会議所などから担当者が上京して店頭で路面販売する姿が見られるようになった。会場内では被災地の写真や子どもたちが描いた被災地応援の絵画作品などを展示し、被災業者による品評会から落語、音楽などのチャリティーライブまでを行った。こうした取り組みをきっかけに「新規契約が決まったメーカー、来店をきっかけに『被災地に行ってみる』と話してくれた客、リピート客も出てくるようになった」と及川さん。プラザは被災地の「情報発信拠点」へと成長した。

 約11カ月間の営業を続け、プラザの来店客数は約10万人を記録。被災地の特産品を販売する1階「銀座いきなり市場」の総売上は6,000万円を超えた。「東京でこのような活動を行ってきた場所はほかにはない。商品管理にも慣れたし、ご縁もたくさん頂いた」。もともと同ビル閉鎖までの期間限定で始まったプロジェクトだった。「東京に拠点があることが被災地の雇用を確保し、元気を届けることにつながることを実感した。これまで培ったノウハウがあり、自信もある。今後、許される範囲で何らかの形で継続できないかと、強く感じているのだが…」

 閉店へ向けて、8月25日・26日、30日・31日には「感謝の意を込めた」イベントを用意する。会場では震災直後・復興過程を伝える各商工会議所からの写真を地域ごとに展示し、参画業者などからのビデオレターを上映。25日には気仙沼のご当地キャラクター「ホヤぼーや」が来店し、ふかひれスープの試食会を実施。26日には登米はっと汁の試食、福島県浪江町から埼玉県へ避難しているシンガー・ソングライター橘光顕さんのライブ、フィナーレパーティーなどを予定。30日・31日にも「ホヤぼーや」が来店するほか、くじ引き大会を開く。

 営業時間は11時~19時(25日・26日は21時30分まで)。月曜定休。今月31日まで。

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