資生堂の企業文化誌「花椿」のアートディレクションを40年以上手掛けたグラフィックデザイナー仲條正義さんの個展「仲條正義展 忘れちゃってEASY 思い出してCRASY」が現在、資生堂ギャラリー（中央区銀座8、TEL 03-3572-3901）で開催されている。

　仲條さんは1933（昭和8）年東京生まれ。1956（昭和31）年に東京芸術大学を卒業し、資生堂宣伝部などに務めた後、1960（昭和35）年に独立。1968（昭和43）年から2011年まで資生堂の企業文化誌「花椿」のアートディレクションとデザインを手掛け、松屋銀座、スパイラル、東京都現代美術館のCI計画などでも活躍。資生堂ではほかにザ・ギンザ、タクティクスデザインのアートディレクションとデザイン、資生堂パーラーのロゴタイプとパッケージデザイン、同ギャラリーを含めた東京銀座資生堂ビルのロゴタイプとサイン計画も、仲條さんによる。

　今年4月号に「花椿」がリニューアルし、同号よりアートディレクターが仲條さんから澁谷克彦さんへと移行したばかり。仲條さんの今後の展開を見据える同展では、1995年7月号の「花椿」での特集タイトル「忘れちゃってイージーYOU 思いだしてクレージーME」を発端にした展示タイトルを冠し、最新作約30点をテーマ別に展示する。

　「とことん突き詰めて作りながら、素直に完成した時はあえて壊してみる」と仲條さん。会場ではロゴタイプ、風景をモチーフにしたシュールなグラフィック作品、新作フォントを使った作品、びょうぶなどを並べ、斬新なアイデアや時代感、毒が盛り込まれる表現世界を紹介している。

　7月20日には関連企画として、仲條さんとグラフィックデザイナーの服部一成さんによるギャラリートークも実施。場所は同ビル9階「ワード資生堂」で、参加無料、定員は60人、18時30分～。

　同展を記念して現在、銀座7・8丁目に構える4つのギャラリー「資生堂ギャラリー」「ggg」「クリエイションギャラリーG8」「ガーディアン・ガーデン」が初のコラボ企画を展開中。共通リーフレットを作り、4会場全てを回ってスタンプを集めた人を対象に仲條さんがデザインしたオリジナル缶バッジを進呈する企画で、実施の背景には「仲條さんは銀座との縁も深い方。みんなで個展を盛り上げていきたい」（G8の小高真紀子さん）との思いがあったという。8月31日まで。

　開催時間は11時～19時（日曜・祝日は18時まで）。入場無料。8月12日まで。